
奈良市観光協会 高橋様よりご寄稿
01, 現状の奈良の鹿や環境問題などご意見をお聞かせください。
1300年前より春日大社の鹿、つまり奈良市街中心部ならびに春日山の鹿は「神鹿」として保護されてきました。しかし、観光客が増えるにつれ、当然のように車の交通量の増加や、ゴミ問題など観光公害も生じてきます。一方で観光は奈良にとってまぎれもない主要産業であるので、鹿の保護と観光の発展というのは、鹿の愛護会をはじめとする関係者の努力で両立させていかねばならないものだと思っています。
02, 今回の「鹿紙プロジェクト」についてどのように思われますか。
コロナ前の過去数年にわたり、奈良の観光客数を押し上げてきたのは、実は外国人観光客です。奈良の鹿は海外に知られており、平均的な外国人観光客にとっては、「市街地に普通にうろうろしている野生のシカに会うこと」は奈良を訪れる際の大きな目的になっています。日本人観光客はもちろんのこと、そのような外国人観光客に、このプロジェクトを通じて奈良の鹿の意味や食性などを啓蒙することができたら素晴らしいと思います。
03, 御社としてまたは個人としてこのプロジェクトにどのような形で支援しようと思っておられますか
奈良の鹿は長い間人間と共生してきた特別な鹿であり、東大寺などの世界遺産に匹敵する世界唯一のものであるという事を発信していきたいと思います。そんな鹿を誤食から守るための一助として、応援したいと思います。また、個人としても、間違ったエサやりなどしている観光客には注意をしていきたいと思います。
04, これからの奈良についてどのような街になってほしいと思われますか
観光的にいうと、奈良は世界レベルの歴史遺産が集中し、内外のファンを惹きつける特別な場所です。大阪・京都から近い場所に、こんなに魅力的な街があるというのは大変ありがたいことです。一方、奈良の中心産業は観光であっても、ほとんどの住民の方々は観光には直接関係ありません。ですから、観光産業発展のための道路や駅の整備、あるいは自然保護、街並み保存などが、結果として地元にも貢献し、理解され、観光と生活が上手に両立した観光地が実現したらいいと思っています。
05, 最後に奈良県民もしくは企業様へひとこと
コロナ後の新しい勤労形態には、大都市に本社・事務所を構えないという選択肢もあるかと思います。奈良市は大阪に至近でありながら、自然環境が豊かです。今後の企業立地の候補としてご検討いただけないでしょうか。